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日本国召喚外伝『新世界異譚 Ⅱ 孤独の戦士たち』の『救国者』について

どうも、おはこんばんちは。髙松です。

尼レビューで重箱のかなり隅を突いてもらって嬉しくなったので、書いてた当時のことをちょっと思い出して解説しようかなとブログ記事にしました。

レビュアーの山さん、本当にありがとうございます。読み込んでくださってめっちゃ嬉しいです。

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日本国召喚外伝『新世界異譚 Ⅱ 孤独の戦士たち』のよもやま

どうも、おはこんばんちは。髙松です。

発売から1週間経ったので、そろそろ裏設定をだらーっと解説していこうかと思います。
あんまり大した話はないと思いますが、「こんなこと考えてたんか」みたいなところがわかったら面白いんではないかと。

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日本国召喚外伝1巻 メロンブックス特典『夏の野の』

笠井たちがアンカルド山を訪れる、少し前のこと。

ある晴れた昼下がりに、ルーサは屋敷の庭でお茶を飲みながら、季節の花を愛でていた。

「今日もいい色だね」

人には滅多に見せることがない柔和な笑みを浮かべ、小さく囁いた。

その言葉が嬉しかったのか、風も吹いていないのに花が少しだけ揺れる。

「無理に動くんじゃないよ。気持ちは十分伝わってるからさ」

そう言いながら、彼女は不意にある人物を思い出した。

『見てルーサ、かわいい男の子でしょ!』

『名前はもう決めてあるの。――っていうの』

『あのお方の子だもの、きっとたくましく……』

「――ッ……今更何を思い出してんだ、あたしは……」

苦々しい表情を浮かべながら頭を振って、脳裏に蘇った記憶を振り払おうとする。

しかしルーサはその出自から記憶が風化しにくいため、次々と思い出してしまう。そしてこれからのことも視えてくる。

もうすぐ「彼ら」が来る。そして「彼」と出会う日が来る。

その活躍は、隠遁していたルーサの耳にも(鳥や動物を介して)入っていた。種族間連合が結成され、獣人族に負けず劣らずの戦果を上げて、中核として活躍しているという。

「どんな男になってるのかね」

彼の母親は、ルーサが心を許した数少ないヒトの1人だ。

おそらくはこれまでで一番、そしてこれからも一番であり続けるだろう。だからこそ、彼女が産んだ一人息子を、自分が導かねばならないというのは残酷な運命であった。

 

彼女との出会いは、40年以上前に遡る。当時はある島国の人里離れた森に住んでおり、そこでも今のような暮らしをしていた。魔女が住んでいるという噂が流れていたので、ルーサの家に近寄る者はほとんどいなかった。

そこを訪れたのが、まだ幼かった彼女である。

「こんにちは、おばあさん」

普段は人除けの結界を張っている森だが、無邪気な子供はまれにすり抜けて入ってきてしまう。

彼女が「彼」を産むと知っていたルーサは、その運命をねじ曲げないように、なるべく穏便に追い払おうとした。

「おやま、かわいいお嬢ちゃんだね。こんな場所へ来ちゃいけないよ」

「どうして?」

「悪い魔女がお嬢ちゃんを食べちゃうかもしれないからさ」

大抵の子供は、この文句1つで震え上がって逃げてしまう。しかし彼女は「彼」の母親になるだけあってか、肝が据わっていた。

「もしあなたが本当に悪い魔女だったら、何も言わずに捕まえて食べちゃうでしょ?」

これは困ったとルーサは言葉に詰まる。

5歳程度の幼子だが、「あの男」の子供を産むに相応しい知性と胆力を備えている。

「そうだね、あんたの言う通りだ」

「ふふ。おばあさん、こんなところで独りで住んでいて寂しくないの?」

「寂しいことなんてないよ。ここには話し相手になってくれる子がたくさんいるからね」

「たとえば?」

「蝶や花、鳥、木々も小川もみんなあたしの話し相手さ」

これを聞いた少女は、目を輝かせてはしゃぐ。

「すごい! お花さんや小鳥さんとお喋りできるの!?」

「できるとも。彼らの声に耳を傾け、彼らの声をよく聞くんだ。そうすれば友達になれる」

「本当!?」

その日から、ルーサの話し相手が1人増えたのだった。

 

月日が流れ、少女は大人の女性になった。

その頃にはルーサも本当の姿を教え、互いに愛称で呼ぶようになり、唯一無二の親友と呼べる存在になっていた。

彼女はただの人間族のはずで、特別抜きん出た魔力など持ち得ていないはずだが、ルーサのそれとは違う独特の鋭い感性を持っていた。内心をいつも見透かすような彼女の目も、不思議と嫌ではなかった。

そんな彼女に、結婚の話が持ち上がった。

だが当時は領土紛争の真っ只中。各地で戦乱が激化しており、「あの男」も例に漏れず戦いに明け暮れる日々であった。

「無理に嫁ぐことはないんだよ。あんたほどの女が側室だなんて……他にも見合う男がいるだろう?」

「いいのよルーサ、あのお方に見初められたのはとても名誉なことだもの。それにあなただって、私の子が何かを成すってこと、知ってるんでしょ?」

「それは……」

ルーサにとって、それは禁となる行いだった。「あの男」の血を引く「彼」が生まれてこなければ、運命は大きく狂ってしまう。それをねじ曲げてでも、彼女の幸せを願っていた。そして彼女の子も、残酷な運命から解き放ってやりたかった。

しかし彼女はやはり聡く、ルーサの願いは誰のためにもならないと理解していたのだ。

「私の幸せを願ってくれるのはとても嬉しいのよ。でも、あなたは役目を蔑ろにしてはいけないし、何より世界のためにならないのだったら、私はあなたとの決別を選ぶわ」

慈しみに満ちた彼女の目が、ルーサを見つめていた。

「それにね、私――なんだかあなたが私の子のことを、愛してくれるような気がしているの」

 

「そんなこと、あるはずがないだろう」と当時は本気にしなかったが、その言葉が30年経った今でも引っかかっている。

彼女は3人の子を産んだあと、子供たちが自国の領土紛争と政争に巻き込まれないように別の国の王に預けた。戦争は魔王の出現まで続き、種族間連合の結成後まもなく王国は滅んだ。手を取り合った直後にその戦い自体が無意味になるとは、皮肉なことだ。

彼女とは子を産んで以来会っていないが、今はある山奥の村に身を潜めているらしい。

「自分のことは教えないでほしい」と彼女は言っていた。自分の子を突き放すのが世界のためだと考えていて、死ぬまで名乗り出ないつもりなのだ。母への情愛を捨てさせ、自らも息子の枷にならないようにと、厳しく律しているのである。

果たしてそれは正解だったのだろうか。どんな男に育っているのか、それだけが気になる。

「……どんな育ち方をしていたとしても、あんたの子はあたしがきちんと導くよ、クニカ」

 

ルーサが彼と出会う日まで、あと少し。

日本国召喚外伝1巻 書泉・芳林堂書店特典『語り継がれる思い』

■ 中央暦1639年9月5日 クワ・トイネ公国 公都クワ・トイネ 日本国大使館 大使室

 

ロウリア事変が終わってすぐのクワ・トイネ公国にて、在クワ・トイネ大使の田中はいつも通り多忙な日々を送っていた。

新世界初の在外大使である。当然ながら田中の働きが今後各国のモデルケースになるので、些細なことでも記録に残し、報告する必要がある。地球では考えられない様々な事象が毎日のように発生し、それの原因と対策や解決方法を調べていると毎日残業が発生する。

クイラ王国大使の宇田もだいぶ疲労が溜まっているらしく、定例報告の魔信通話で必ずと言っていいほど愚痴をこぼしていた。

「田中さん、私はもう限界です。毎日毎日各地の視察、民間企業のインフラ整備の進捗確認……日本人の相手だけでも大変なのに、話が大雑把なわりに契約関係は細かいドワーフや脳まで筋肉な獣人族たちの相手もしなきゃいけない。新世界は我々日本人にとって過酷すぎます」

このままでは宇田が鬱を発症しかねない(すでにその兆候は見られるが)。

田中が本国にそれとなく伝えたところ、ロウリア事変もあってなかなか休みが取れなかった田中たちを慮って、本国外務省から長期休暇帰国の許可が出た。

言うべきことは言うものだと、田中は家族を連れて1ヶ月ほど帰国することにした。

 

■ 中央暦1639年9月12日 日本国 神奈川県 横浜市 田中邸

 

田中は横浜市にある実家へと戻っていた。

平凡な名字だが、実は名家である。横浜市の高級住宅地に構えた邸宅は、最新技術で建てた日本家屋だ。残暑の中でも快適に過ごせる。

子供たちは地元の学校へ、短期の体験入学で通っている。妻は久々の日本を楽しむために、父母と一緒に街へ買い物に出かけた。

こうして日本にいると、異世界転移したなどということが信じられない。ロウリア事変中はマスコミが大騒ぎしていたようだが、やはり画面1枚隔てているせいか、世間は他人事のように見ていたらしい。

「平和なもんだ……」

そんな日本が、田中は大好きである。この日本を守るために自分は外交官になったのだと、家の庭を見ながら茶をすする。

「やっぱり日本がいいか、一久かずひさ

隣に腰を下ろしたのは、御年83になる祖父一大もとひろである。

「そうですね。いくらクワ・トイネ公国の居心地がいいと言っても、利便性や慣れない文化にはそう簡単に順応できません」

と苦笑いを浮かべる。そして小さく頷き「だけど、それが面白いんですけどね」と付け加えた。

「そうか」

一大も面白そうに目を細めた。自分の孫が大変な役目を背負って海外に行ったと聞いたときは、心配で仕方なかった。だがそれもいい経験になっているように見え、彼の成長を素直に嬉しく思う。「大変なことになってしまったなあ」

「そうですね。でも、一番の懸念であった食料問題は解決に向かっています。エネルギー問題もギリギリのところで踏ん張れました。むしろ地球にいたときよりも幸せかもしれませんよ」

一久の言葉に、一大は「ふむ」と顎先に手を添えた。

「一久、大祖父おおじいさんの言葉を覚えているか?」

「大祖父さん? ええと……」

「お前は小さかったから覚えてないかもしれんなぁ」

曾祖父は、田中一久が8歳のときに亡くなっている。30年近く経つと、さすがに忘れてしまうだろう。

「おれが10歳のとき、親父は東遣艦隊ってのに選ばれて長期遠征に出て行ったんだ。それから2年後、ちょうど敗戦と同時に帰ってきてなぁ」

一大は地面に視線を落とし、訥々と語り始めた。

「この世界とは別の世界に行って、そこで人類を救ってきたんだと言っていた。他のやつに言っても信じてもらえないだろうから、心に留めておけと念押しされた」

曾祖父は異世界を救う艦隊に加わり、2年もの遠征を戦い抜いてきたそうだ。

地球とまるで違う水平線。次々と襲いかかる異形の鬼、巨大なトカゲ、化けタコにイカ。

そして彼らとともに戦った人間たち。耳長、ずんぐり、半分獣、色んな人々がいたという。

この話を聞いた一大と曾祖母は、父は戦争の恐ろしさで気が触れてしまったのだと思い込んだ。

一久はここまで聞いて、ようやく曾祖父の話を思い出した。

当時の彼も、お伽話かアニメか何かの話だろうと考えていた。だがここまで聞いて、思い当たったことがある。

「そういえば、妙な話を聞いたな……」

この世界は1度、「太陽神の使者」なる存在に救われたという話だ。

曰く、雷鳴のごとき轟音を発する、空飛ぶ神の舟に乗り地上を焼いたとか、地平を駆ける鋼鉄の地竜が魔獣の群れをなぎ倒したとか、挙げ句には海から大破壊をもたらす爆裂魔法を投射したとか。

彼らは日本国旗と同じ日の丸――太陽の紋章を掲げて戦ったと伝承に残っているという。

この話は宇田も聞いたらしく、たとえばクイラ王国の国旗にもその名残が見られるらしい。

これらを総合すると――

「まさか太陽神の使者というのは、大祖父さんのことなのか?」

空飛ぶ神の舟というのは比喩で、レシプロ戦闘機ではないだろうか。鋼鉄の地竜は戦車、海から大破壊をもたらすのは戦艦――と考えられる。

「何か心当たりがあるのか? 一久」

「あ、いえ。ですが大祖父さんが戦争に行ってたときって、今から70年ほど前のことですよね?」

「昭和20年だから……そうだ。親父が帰ってきてからもう70年になるのか」

一久が首を傾げた。

計算が合わない。太陽神の使者の話は、それこそ神話のような世代の話だと聞いた。エルフたちの寿命は今でこそ2、3千年程度らしいが、当時は7千歳もの老エルフも存在したという。

そんな彼らの神話なのだから、万を超える年数は経っているはずだ。

何か勘違いしているのだろうか。あるいは――

「だがまぁ……」

考えにふける一久を、一大の言葉が呼び戻した。祖父は空を見上げて続ける。

「親父が今際に言っていた。『異世界を救うのは、子孫の幸せのためだと聞いて、必死で戦った。だけど日本の敗戦を防ぐことはできなかった。焼け野原となった日本を見て、おれたちの戦いは無駄だったのだろうかと今も自問自答している』と。だが日本は敗戦から立ち直り、戦争への戒めを今も忘れることなく国が続いている。これが幸せと言わずして何だと言うのだ」

それを聞いた一久も、曾祖父が確かにそう言っていたことを思い出した。

そして今ならわかる。

曾祖父が救ったのは、きっとこの新世界に間違いないのだ。未来の幸せとは、クワ・トイネ公国とクイラ王国のことだ。曾祖父たちが守った世界が、日本を今という未来につないでくれている。

そう思うと、田中一久は誇らしくなり、これからも日本のために、曾祖父が守った世界のために頑張ろうと決意を新たにするのだった。

活動雑記(19/07/16)

どうも、おはこんばんちは。髙松です。

日本国召喚外伝2巻と本編6巻の発売日が12月予定となりました。
ちょっと先ですが、その分クオリティ高めて皆さんのお手元にお届けできるよう頑張ります。

あと専業の作家/編集では厳しいので、仕事探すことにします。
実はギブアップ寸前です。もう無理。

ではまた。

『日本国召喚 五 新世界大戦』発売日

どうも、おはこんばんちは。髙松です。

なんとまぁ第5巻の発売ですよ。びっくりですね。
私もこんなに長く続く作品を担当するのは初めてで、ファンの皆さんの応援が嬉しくもあり、その反面重責にいささか及び腰となっております。

なんと今回はCMまで制作されましたよ!

しかもこれ、流れてます! 地上波で!(最後のキャッチは尺の都合でカットされてますが)
すげえ! ナレーション稲田徹さんだ !!! 俺は夢でも見てるんじゃねえか !?
ここまで頑張ってきた甲斐がありました !!! みのろうさんともめっちゃ喜んでます!
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ロウリア王国国旗

みのろう: ロウリアは、何となくイメージなんですけど、剣が入ってたら面白いかも
髙松: 騎馬隊のイメージも強いんで馬入れますか
みのろう: それも良いですね、イメージはファンタジー国家なので、剣と魔法の世界(入口)で、剣と盾もありかなとは思いますが
髙松: *******(某ロボットアニメの主人公が所属する)隊のエンブレムみたいな馬を盾に描いて、その後ろにクロスさせた剣とかですかね
みのろう: まあ、カッコイイ感じであればこだわりはありませんので、お任せしますw


「いわゆるこんな感じですか」って上のラフをお渡ししたら「そうそうこんなやつです」と。
あとは馬っぽい意匠を描いてそのまま仕上げたのですが……配色に悩みまして。


最初は黄と赤でスペインっぽくですかねーってたたき台に出したんですが、こっちは没です。
今見たら目に痛いですねこれ。


こっちが完成版。
馬を黒に、背景を青にというのはみのろうさんの指示(というほど強いものではなく、提案ですね)です。
黒の理由は「悪役だから」という単純なものでした。ロウリア……。
あと剣がちょっとおっきくなってますでしょう。これもみのろうさんの提案です。
でも実際、非常に締まって見えますし、なんか悪そうな感じだと一発で伝わりますよね。
そういうとこですよ、みのろうさん。やっぱりバランス感覚が大変優れていらっしゃる。
「私に美的センスはありませんが」なんてご謙遜はやめていただきたい(笑)。

クイラ王国国旗


Skypeにて

髙松: クイラは何だろう。鉄かな
みのろう: ひし形でも入れときます? 銀色の
髙松: あるいは種族間連合時代に日本に鉄と石油を提供した名残がクイラの国旗に残っていてもいいかもしれません
みのろう: 良いですね。砂漠っぽい国なので、それこそ黄色地に……何かとか。特にこだわりはないので、何でもいいですよ

と言われたんですが、鉄と石油を入れるとどうしても黒くなっちゃうんですよね。
そこで考えました。
とりあえず砂漠のイメージで黄色を下に敷こう、と。
さらに砂漠と言えば鷹匠のイメージがあり、鷹をメインに配置することにしました。
肝心の鉄や地下資源のイメージですが、この鷹にツルハシを掴ませようと思いついて、完成版では鷲づかみにしております。鷹だけに(鷹と鷲の違いは大きさだけだとか聞いた覚えが)。


こちらが完成版。
中央の鷹をカッコよく見せるのにだいぶ苦心しました。
嘴を開くかどうか、脚を伸ばすかどうか、主翼の開き具合など。
ちなみに鷹は地球と同じように狩りに使われています。

結果的にはうまくまとまったかなと思います。嘴を閉じたのは、クワ・トイネ公国同様そこそこ平和的な国である証拠です。
脚は当初開いていたのですが(ラフ参照)、ツルハシを持たせたことで実際に飛翔時の形になっていい感じです。
なるべく左右対称、上下対称にしたかったんですが、そもそも鷹の頭があるので左右非対称ですし、ちょっとバランス崩れていても許容範囲としてます。
背後の輪はもちろん外伝1巻の内容に由来します。日本の国旗の太陽、それを支えるという意味でくりぬいたような形になっています。
鷹の周りにある花は砂漠で育つサボテンのような植物の花です。名前は地球の言葉に直すと「オーガサボテン」といったところです。
国旗の中に要素がやたら多いのは中世らしさですね(笑)。